漢方治療を通じて学んだこと

漢方治療から学んだこと

 

あきらめずに漢方治療をしていると、いきなり効く時がある。

私は漢方治療歴が約10年になるが、飽きる事がない。

それは、いつも新たな発見があるから。

 

技術的なレベルアップもあるが

考え方が変わる瞬間があるのも醍醐味だ。

 

年をとると角が取れて丸くなる。

漢方治療においても言えるのではないか。

 

漢方初心者の頃は

一発で正しい漢方を当てるぞ!と気合が入っていた。

漢方治療の打率を上げる事を目標にしていた。

 

でもこの考え方は甘い事がだんだんに分かってくる。

もちろん初めは自分なりの診断をし、根拠をもって処方をするわけであるが

うまくいかない人の方が多い。

もしここで諦めてしまったら、

「漢方は効かない」という思考へ陥ってしまう。

ひどいと「この人は漢方が効かない体質だ」と、責任を他人に押し付ける事もある。

 

自己反省をし、なぜ効かなかったかを再考するようにした。

何回か漢方を変えるうちに、急に

「今回の漢方は効きました!」とのお声をいただける事がある事に気づいた。

 

こちらは「まじか!ちゃんと効くんだ!」と心の中で驚く。

この瞬間がたまらない。

漢方初心者の時には味わえなかった感覚なのだ。

 

漢方初心者の時はホームランを狙っていた。

だけど、自分がホームランバッターではない事がだんだんと分かって来る。

こつこつヒットを重ねるタイプだと分かり、粘り強くバットに当てる。

何度か当てれば出塁することがある。

 

患者さんはピッチャーで

私はバッター。

 

ピッチャーのクセもあるだろう。

それに合わせて打てるようになると面白さが一気に増す。

 

患者さんもあきらめずに通ってくれるから、こちらも本気になれる。

強いピッチャーだとなお燃える。

以前の自分と患者さん(疾患)では実力差がありすぎたのだ。

 

日々の診療では大変な事が多いけれど、

小さな楽しみや発見があると楽しくやれるのかもしれない。