良かったことだけに目を向ける
今日の診療で大変驚いた事がありました。
認知症がひどく、暴力もあり診察もまともにさせてくれないおじいさんに
抑肝散という漢方薬を出したところ
人格が穏やかになり、帰り際にわざわざ見送りまでしてくれました(訪問診療で)
介護をするおばあさんから、とっても助かったと言われました。
私は漢方医ですので、抑肝散はよく出します。
でも、ここまで劇的に効いた人は初めてです。
漢方に限らず、西洋薬でも薬が著効するひとがいます。
でも、事前にどういう人が効くのかわかりません。
なぜAさんに効いて、Bさんには効かないのか?
Cさんには少し効いて、Dさんにはものすごく効くのか?
個人差であることは確かですが、何が違うのかはわかりません。
わかったようなことを言うのは簡単ですが
15年以上医者をやっていても、私はわかりません。
だからこそ日々の診療で発見があり、楽しむ事ができます。
1日に1人でも「良かった」といってくれる患者さん、家族がいれば
その日は大成功の1日だったと思うようにしています。
よかったことに目を向けるようにすると、嫌な事があってもすぐに忘れる事ができるようになりました。
以前は失敗したことや、失礼をしたこと、相手に不快な気分を与えたことを反省していましたが、
どうもメンタルには悪影響がでることが分かるようになってから
反省したり、思い出したりしないようにしています。
嫌な事を思い出すということは、その分の時間を損していると思うようになったからです。
いいことを積み重ねる、嬉しかったことを記憶にとどめる事にフォーカスするようにしています。