文学マニアック本をまた見つけてしまった

たまに文学を読みたくなります。

それ以上に文学解説や文学批評もおもしろくて読みたくなります。

 

行きつけの本屋で、文学解説・批評コーナーがありますが

あまり人気がないのか、その棚で客が立ち読みをしている姿をほとんど見たことがありません。

 

マニアックなラインナップが多いのですが、専門家が書いているというよりも

市井の文学好きやコラムニストが

書きたくてしょうがないというスタンスで書いている作品が多く

たいてい、アタリます。

 

例えば

『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』という書籍は

思いがけず出会った作品であり、声をだして笑いました。

本をよみながら声を出して笑う経験はそうはありません。

電車の中で読めば必ずニヤニヤしてしまうでしょう。

 

文豪や文学の楽しみ方の幅を広げてくれた一品です。

 

そんなマニアックコーナーでまた面白い本に出合ってしまいました。

イザベラ・ディオニシオさんというイタリア人女性が書いた

『女を書けない文豪たち』という文学批評本です。

批評といっても、否定的なニュアンスではなく好きすぎて深く読み込み

よくここまで解説してくれた!と感謝したくなりました。

 

明治後期から昭和初期までの10人の文豪達が書いた、女性に関係する作品を選んでいます。

文学が黎明期からエンタメ期へ移り、大衆化していく時期の作家達です。

今でいえばyoutuber的立ち位置でしょう。

 

目次は以下の通りです。

 

【目次】
まえがき
第一部 恋に恋してるだけ 泣き止めばケロッとするオトコたち
 元カノって、忘れなきゃダメですか――『舞姫
 ママの呪縛――『不如帰』
 妄想こそはオジサンの生きる道――『蒲団』

第二部 結局のところ、俺様が主人公 意識高い系の憂鬱に悩むオトコたち
 大人のこころの謎解き――『こころ』
 妖婦は男性によって創られた――『痴人の愛
 男性重視はどうにも隠せない――『ヴィヨンの妻
 女を・棄てた・遠藤周作――『わたしが・棄てた・遠藤周作

第三部 とことんウザい いつまでも諦めないオトコたち
 ロマンチック・ラブという「病」――尾崎紅葉金色夜叉
 「新しい女」まで後一歩は本当か?――菊池寛真珠夫人
 ほんとうに怖い恋愛の話――江戸川乱歩『人でなしの恋』
あとがき

 

なかなか面白そうじゃないですか?

 

文豪達はだいたい変態だということが分かります。

変態じゃないと、このような作品を作れないし人の目にさらせないと思います。

 

イザベラさんの文章表現力も魅力です。

本当にイタリア人ですか?と問いたくなるくらい文章が上手で、

文章の中に引き込まれていきます。読んでいて気持ちがいい。

 

読み終わった時には、本に一礼しました。