「ケーキの切れない非行少年たち」という漫画を読みました。
既刊6巻です。
児童精神科医の宮口幸治さんが原作で
漫画は鈴木マサカズさんです。
鈴木マサカズさんは以前にも紹介した「「子供を殺してください」という親たち」という漫画も描いています。
宮口幸治さんは少年院へ来る非行少年達に境界性知能の人達が多い事に気づき、世に発信しました。
新書版は78万部も売れているお化け新書です。
とても社会的意義が大きな新書でした。その漫画版です。
境界知能というのはIQ70-84のグレーゾーンの事を言うそうです。
恥ずかしながら、境界知能という事を普段の診療で意識をすることがありませんでした。
境界知能という概念がありませんでした(多分医学部で習ったのかもしれませんが覚えていません)。
境界知能の方は理解力が乏しい人が多いようです。
発達障害という言葉はかなり世に認知されてきたと思いますが
境界知能という言葉はまだまだ知られていないと思います。
理解力が乏しいため、小学校の頃から様々な困難に直面するようです。
全人口の14%という事らしいので、かなり多いという印象でした。
境界知能の方が犯罪傾向があるという事ではなく、生きづらさや理解力の欠如から結果的に犯罪を犯してしまうというケースが多いようです。
これは日々の診療でなんとなく感じていた感覚を説明してくれました。
その感覚というのは健康への考えが甘い人達が一定数いる事を感じていました。
説明しても伝わらず、一方的に話す人や
明らかに体に害がある事をし続ける人。
会話はできるのに、なんか違和感があるという感じ。
本人はあまり深刻そうではなく、なんとなく他人事のように振舞います。
今考えると、境界知能の人達だったのかもしれないと思うのです。
普通知能の人達と同じように伝えても、伝わらないわけです。
また、情報弱者になりやすく騙されやすいです。
とても人当たりはいいのです。
病気ではないけど、配慮が必要だと思うようになりました。
たぶん本人も気づいていないケースが多いと思います。
youtuberとして発信している境界知能の人がいます。
とても分かりやすいし、生きづらさを少し理解できた気がしました。
ニュースを見る目も変わりました。
犯罪は許されませんが、犯罪に至るまでにはそれなりの背景があるということ。
最近よく、SNSで炎上動画が話題となっています。
たぶんみんなが「なんでこんなことを?」と不思議に思うと思います。
私はこういった方の中に一定数境界知能の方がいるのではないかと思うようになりました。
そうすると、なぜこんなに短絡的な行動がとれるのかが理解できるのです。
人を見るフィルターが1つ増えました。
とてもおすすめの漫画です。
それにしても漫画のパワーはすごい!