ひきこもり問題の暗部をさらけだす 【漫画紹介】

ひきこもりや精神障害者、薬物依存者で医療につながれていない人達がいます。

そのような人達を医療につなげる民間会社「精神障害者移送サービス」を創業した押川剛さんという人がいます。

その人の活動が漫画になっています。

『「子供を殺してください」という親たち』というタイトルです。

 

衝撃的なタイトルで目にとまり、既刊12巻を一気読みしてしまいました。

私たちの知らない世界がありました。

世に出ることがない内容をよくぞ書いてくれたと思います。

 

かなりガチンコ漫画です。

リアルを盛ることも、きれいごとにすることもなく書いています。

プライバシーには十分配慮して、すべて実例で様々なケースを書いています。

漫画の発信力と表現力を見せつけられました。

 

テレビにでてくる「元ひきこもり」の人たちは押川さんに言わせればひきこもりではないということ。

まず、本物のひきこもりは自分ではひきこもりと認識していないようです。

 

「本物のひきこもり」の中には精神疾患を患っている方も多いようです。

しかし、家族が否定したり、本人がサインを出すことができずそのまま座敷牢状態になることがあります。

否定すれば否定するほど、状況は悪くなり結局は自殺や殺人事件へと発展していきます。

もし、統合失調症の方が適切に治療をうけなければ妄想が固定し社会生活が営めなくなってきます。

医療へつなげるために押川さんは会社を始められたそうです。

どこにもない会社。創業時は唯一無二の会社でしょう。

かなりの覚悟が必要です。

「まずは人間関係を築くところから」と言います。

 

ひきこもりを生み出しているのは家族の問題が大きいこともわかります。

親の責任だ!ということをはっきりと言います。

きれいごとは言いません。

家族の言われたくないこと、隠しておきたいことをついていきます。

そうして、すべてをさらけ出したところから本人と関係性を築き医療へとつなげていきます。

危険も伴うのにガチンコでぶつかります。漢を感じます。

私にはできません。

 

皆、きれいごとしか言わなくなってきました。

みんな違ってみんないい(だけど自己責任ね)

本人が望まなければ学校にいかなくていいよ(だけど自己責任ね)

ひきこもりだって選択肢(だけど誰も面倒をみません)

 

個人主義と自己責任はセットです。

強者と弱者の差は開くばかり。

一昔前は弱者の戦い方もあったと思いますが、いまはネットでさらされて

袋叩き。

きれいごとしかいうことができなくなりました。

 

テレビやyoutubeでは見せることができない真実を

漫画なら世にさらけ出すことができます。

漫画が今後も規制されることなく、表現が自由にできる場であってほしいと思います。

こんなに面白い、社会的に意義がある作品があるのだから。

ただ、話題になりすぎると各種団体から善意のクレームが来る可能性があります。

 

ちょうどいい具合に発刊が続いてくれることを願います。