変わり者が人生にスパイスを与えてくれる 金原ひとみ「ナチュラルボーンチキン」

金原ひとみさんの「YABUNONAKA」で衝撃的読書体験をして

もっとほかの作品も読みたいと思い「ナチュラルボーンチキン」を読みました。

「YABUNONAKA」ほどの重さはなくライトな小説でした。

この振れ幅はすごいなと思います。

 

 

 

 

主人公は45歳中年女性(浜野文乃)。ルーティン生活をこよなく愛しています。

ミニマリストのようにいつも同じ服を着ています。私と年齢が一緒で、まずキャラにドはまりしました。

日常はなるべく、波風立たずに過ごしたい。余計な仕事はしたくない。余計な人間関係は持ち込みたくない。

職場と家の往復+帰宅後のサブスク。

中間層のデフォルトのような生活をしていますが、結構心地いい。

40代というのがミソです。40年も生きれば、何らかのメンタルをえぐられる様な経験を皆しているものです。他人から見たらなんともないことでも、本人にとったら「とんでもないこと」。

主人公は10年前に離婚・不妊治療失敗を経て、45歳でルーティン生活に落ち着いています。

その心地よさが分かるのです。

「今度恋愛をして傷ついたら、二度と立ち上がれません」

みたいなことを言います。

 

とてもよくわかる。

 

傷ついた後のメンタル回復時間や労力が半端ないことを経験しているから。

そんなことが起きるくらいなら、何もないほうがいいとさえ思います。

明日も今日と同じ日が来ますようにと思います。

でも、それと同時に「このままで大丈夫か?」というアンビバレントな感情もわいてきます。

金原ひとみさんはこういった感情を拾うのが上手だなと思います。

 

そこに職場の極端な陽キャがでてきて物語が展開していきます。(名前も平木直理)

とっても羨ましい性格をしています。

才能があり、人に媚びることなく、時間にも生活にもお金にもルーズだけどメンタルは安定。

最強の人ではないか。こんな人になりたい。

 

無理やりライブに連れていかれたり、昼休憩から中華ビュッフェを食べに連れていかれたり。

昼休憩という概念もないから、平木直理は自由に働いています。

そして彼女を通して知り合っていく人と物語は明るいほうへと進んでいきます。

 

学生時代に同じような陽キャの友達がいて、いろいろな世界を見せてくれました。

変な友達だったけど、私の人生の中ではいつまでも鮮明に思い出が残っています。

先生には失礼だし(学長に誰このおっさん?てきいたり)、自分は天才ですって言ったり(試験には落ちてました)、先輩はおちょくるし(飲み会で寝てしまった先輩に唐揚げみたいにレモン汁をかけてました)。

その人はスケボーをしていました。

 

この平木直理もスケボーしています。共通点が多くて当時を思い出しながら読みました。こういった人はとても熱いんだけど近づいても火傷をしない。不思議な人種です。

自分とは価値観を共有していない人が自分の人生にスパイスを与えてくれる。

経験上それは真理なんだろうなと思う。

 

変わり者と「出会った世界線」と「出会わなかった世界線」はあきらかに違う。

またこんな経験をしてみたいなと思いました。