貧困と暴力は繋がりやすい のだ
確定申告も終わり、勢いでふるさと納税をして暇になったので韓国映画を見ました。
2本目です。
前回は「オールド・ボーイ」というややバイオレンス系の映画でした。
今度もバイオレンス系ではあるけど、ヒューマン系でもあります。
「息もできない」という映画。
設定年代は1990年代でしょうか。
ポケベルと旧式携帯が混在している時代です。
韓国は1987年に民主化しましたがその直後くらいでしょうか。
エンタメ性や性描写はなく、いたって真面目な作品です。
主人公は取り立て屋のサンフンと女子高生のヨニ。
サンフンは典型的なチンピラで
ヨニは気が強く正義感が強そうな女の子。
二人の共通点は
1.子供の時に母親が殺されたと言う事。
2.父親は現在生きているが、生活の足かせになっていると言う事。
そのような境遇なので二人とも貧困です。そして口が悪い。
邦題・英題は「息もできない」ですが
韓国語の原題は「糞蠅」。全然違うテイストに変わっていますが
原題のままだと、受け入れが悪かったのかもしれません。
汚い言葉が多いですが、逆にそういう言葉しか話せないという
リアルさがあります。
口の悪い二人が少しづつ近づいていく。
ずっと笑顔のない2人が途中、屋台酒場で笑うシーンがあります。
とても印象に残りました。
何気ないシーンなのですが、お互い少し心を開き全編を通じて初めて笑います。
ずっと暗い暴力・暴言シーンが続くのに、明るい気持ちになれる。
作品の作り方がとても上手です。
チンピラのサンフンが甥っ子に見せる不器用な優しさ。
愛を知らずに育った故の不器用さが上手に表現されています。
チンピラと女子高生が出会ってもこんなにうまくはいかないだろうと思いますが、
そこは映画。つっこまないことはお約束で楽しんだもん勝ちです。
チンピラに感情移入することはできませんが、なりたくてなったわけではないだろうし
言葉遣いだって不器用にならざるをえない環境で育っています。
貧困と暴力は繋がりやすい。
そんな当たり前を再認識させられる作品でした。