患者さんに教えてもらう

漢方治療は面白い。

漢方は個別性を重視する。

この個別性が面白い。

こちらが学ぶ事が多いのだ。

一緒に治している感覚がある。

 

ある小学生の女の子が来た。

初潮が早く、ほてり・発汗・頭痛がでて学校に行けないのだ。

 

話だけ効くと更年期症状と一緒だ。

だけど更年期なわけがない。

うーんと悩む。顔からは汗がしたたっている。

もちろん婦人科でも見てもらっており、ホルモン療法も受けている。

小学生だし、ホルモンはいじくりたくない。

 

初潮が早く来たということは東洋医学で言う「腎」の働きが強すぎるということだ。

「腎」は身体にとってはエンジンであり「火」を生み出す所。

更年期障害はこの「腎」の働きが弱くなり、それに抗うように腎に火がつく。

そしてほてりや発汗、めまいやイライラといった症状がでる。

 

初潮が早く来た子はどう考えるべきか。

「腎」にそのまま火がついたわけだ。症状は更年期障害と同じになる。

なるほど、と思った。

プロセスは違うけど、表面にでている症状は更年期障害と一緒なのだ。

 

更年期障害に使う薬を使った。ただ、腎を補う生薬は抜いて出した。

初潮が早くきて苦しんでいる方で

更年期障害と大きく違うところは腎が弱っているか、元気すぎるかだからだ。

 

苦いけど頑張って飲んでもらった。

治したいという意志を感じた。

結果はてきめんであった。

 

ずっと学校に行けていないということだったので

この子が学校に行けるように頑張りたいと思う。

 

患者さんに教えてもらい、自分のレベルがアップする。

教科書にはない、経験からしか分からない感覚。

私にとって一番楽しい瞬間だ。

 

サウナに入り、水風呂に入った瞬間に処方が思いつくことがよくある。

「つながる」という感覚があるのだ。

なんでこんなことが分からなかったのだろうと思う事がよくある。

 

このような経験を積み重ねていきたい。