たまに読みたくなる村上春樹作品 過去の自分に出会う 【書評】

たまに村上春樹が読みたくなる。

年に1回くらい。

初めて読んだのは「1Q84」。

意味がわからなかったけど、クセになる言い回し。

無機的で、非現実的。

登場人物は少なく、読みやすい文体。

何か意味がある事をいっているようで、何も言っていないような。

でも、気になる。

 

長編を中心によんでいたけど、最近は短編も面白いなと思うようになりました。

エッセイや、ノンフィクションも面白い。

 

「一人称単数」が文庫本で出ていたので読みました。

単行本より文庫本派です。

コンパクトさが好きです。

 

短編集を読むとき、自分が一番心が動いた作品は何なのか?を探ります。

分かっているようで分からない自分。

村上作品を読んでいると、ふと過去の自分を思い出す事が多い事に気がつきました。

過去に経験した事があるような、ないような。

記憶の奥に葬り去れた出来事があったように感じる事があるのです。

 

カフェで読んでいると特に感じます。

ふと、手を止めて外を眺め

過去の出来事を思い出すのです。

 

村上作品を読んでいると

すっと、心の奥底を触られたような感覚があるのです。

そして触られた部分というのが、過去の暗部であったり後悔であったり苦い経験であったり。あまり楽しいものではなかったりします。

国語の試験でよく「作者の意図していることはなんですか?」という問題がありますが

村上作品に関しては「意図しているところはない」気がします。

過去の自分との対話をするための装置という気がします。

 

経験値を積めば積むほど、村上作品が面白くなります。